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■展覧会 

黒 川 志 津 子   展       2007年7月4日(水)〜7月11日(水)

作家紹介
 黒川志津子さんは四季折々の、花を題材に作品を描いています。
 淡い色彩とタッチの独特な画面構成で描かれるその世界は、観る人を繊細でロマンチックな夢の中にいるような気持ちにさせます。太陽や風の匂い、花の香り、気温までも感じられるような作品です。取材には近所を散策したり、時には花の名所まで行ったりするそうです。
 今回の個展に出品される作品のモチーフになった花について少し調べました。


薔薇 120F(193.9×130.3cm)

薔薇
=しょうび(薔薇)、そうび、長春花(ちょうしゅんか)
 「古今集」に薔薇(そうび)が詠われており、鑑賞に供されたよう。 中国では「四季花のある」ことからの名で、長春花という。刺のある植物を称して古くは「いばら」「うばら」といったがその略されたもの。
 紀元前2000年の頃から栽培されている。 イスラム教徒によりイベリア半島に持ち込まれ、ヨーロッパ中央部まで伝わったとされる。 そんなこともあり、イスラム圏で尊重されていた。ペルシャの言い伝えでは、バラの花が咲くと、花への愛の告白をするためナイチンゲールが歌い始めるという。 アラーの神がバラを花の女王にしたと聞き、喜んだナイチンゲールは芳香にひかれて飛んでいった。 近づいたと思ったら、その胸に棘がささり、こぼれた血が花びらを赤く染めた。このとき、真紅のバラが生まれたとか。
 ヨーロッパでブームになったのがフランス革命前後。
 作家が描いているのは一重のつるバラの一種。
 バラ科/西アジア原産/落葉低木/赤・黄・白・桃


<上:薔薇 20P(72.7×53.0cm)>

<下:薔薇 15F(65.2×53.0vm)>


コスモス
=秋桜(あきざくら)
 ギリシア語では秩序、調和、宇宙の意味。 また、「飾り」「装飾」「美しさ」という意味もある。 近年、チョコレートの香りがする茶色の「チョコレートコスモス」が話題、人気を集めている。
  キク科/メキシコ原産/一年草/赤・桃・白・黄・橙







<秋桜 100F(162.1×130.3cm)>



 古歌に多く詠まれているのはほとんど山桜である。
 『古事記』に出てくる「木花之開耶姫(コノハナノサクヤヒメ)」の「木花」が桜の花を意味し、「サクヤ」の音がサクラの語源といわれている。
 また、桜のイメージの中には「咲く」とともに「盛ん」「幸(さき)く」という晴れの意味の語源も伝えられている。 桜の「サ」は穀物を表わす古語、「クラ」は神座の意で穀物の依代(よりしろ)という意味もあるそう。 散りぎわがいさぎよいので、武士道の象徴ともされた。
 お花見が庶民のものになったのは江戸時代から。
 東京都の都花(ソメイヨシノ)京都府の府花(シダレザクラ)
 「ソメイヨシノ」は江江戸末期以降に広まった園芸品種。オオシマザクラとエドヒガンの雑種とされる。成長が早く、葉に先駆けていっせいに花を咲かせる様子の美しさから、 第二次大戦後、公園などに大量に植えられていった。
 「シダレザクラ」は、エドヒガンをもとにして京都で作られた園芸品種。別名「イトザクラ(糸桜)」。平安の昔から庭木として植えられていた。ソメイヨシノに比べ、長寿の木が各地にあり、「名木」「天然記念物」などに指定されている。
 バラ科/ /落葉高木/薄紅・白


<桜 80F(145.5×112.1cm)>


矢車菊  
 夏から秋 =青い花、青い帽子、青い蝶ネクタイ通称、矢車草(やぐるまそう) 花の形が矢車に似ているのでこの名がついた。
 学名のケンタウレス・チアヌスはギリシア神話の半人半馬のケンタウルス、花の女神フローラの崇拝者チアヌスにちなむ。ヒュドラの血に浸した毒矢でケンタウルスが殺されたが、傷口に矢車菊の花びらをふりかけると、生き返ったという。 また、フローラの崇拝者チアヌスの死を悼み、彼が集めていた花に「チアヌス」の名を与えたとか。
 また、ドイツ皇帝カイゼルの愛した花で、ドイツの国花。
 「ヤグルマソウ」と呼ばれることもあるが、正確には別種。
 花の浸出液には、傷口や粘膜の血管・組織を引き締める効果があり、マウスウォッシュとして口内炎の改善をはかったり、軽い切り傷につけたりする。 食べられる花「エディブル・フラワー」の一つ。
 キク科/ヨーロッパ東部、南部原産/一年草or越冬草/青・白・桃


<矢車菊 30F(90.9×72.7cm)>


山吹 
 春 =山で風に揺れている姿を表現した「山振(やまぶり)」に由来する。 この花の色は平安時代から色名として使われる。また中世にはその色が黄金色に似ていることから「山吹の花」という言葉が「大判、小判」をさすこともあった。
 万葉集に17首の歌があるほど古くから愛された花。
 「妹に似る草と見しより吾が標めし野辺の山吹誰か手折りし」、 「ほろほろと山吹散るか滝の音」(芭蕉)
 バラ科/日本、中国原産/落葉低木/黄


<山吹 50F(116.7×90.9cm)>


菜の花 
 春 =花を賞美する菜の意味で、アブラナ属全体の総称。特定の植物をさす名前ではない。 昔は種子から油をとる油菜が主役。
桃の節句に桃の花と菜の花を一組にして祝う習わしは、江戸時代から。現在は花菜と呼ぶ白菜系の鑑賞用が主役。
 千葉県の県花
 アブラナ科/東アジア原産/一、二年草/黄





<菜花 10F(53.0×45.5cm)>


竜胆(りんどう)  
 9〜11月 =春咲く小形のものもある。平安時代、おしゃれな花とされ女御たちの衣裳の模様に競って使われた。 長野県・熊本県の県花 根が、「熊の胆(い)」よりも苦いことから、「竜の胆(最上級に苦い)」の意味で、この名前になったとされる。
 その苦い根は、健胃・消炎・鎮静の薬として用いられる。 白い花を咲かせる種を笹龍胆という。 紀元前180〜67年、イリュリア王ジェンテウス はペストに苦しむ領民のため山野に分け入った。 神に祈り矢を放つと、竜胆の根にささり、薬用に用いたという。英名「Gentiana」は王の名から来ている。
 リンドウ科/日本原産/多年草/紫


<竜胆 6F(40.9×31.8cm)>


金木犀
 秋 =丹桂(たんけい:中国:丹とは赤色のこと、桂(桂樹)とは月に生えているという想像上の樹) 淡灰色の幹の紋斑が動物の犀(サイ)の皮に似ているためこの名前がついた。
 強い芳香を放つ。中国原産の花木。渡来したのは7〜9世紀の間に、遣唐使が桂林あたりから種をもち帰って植えたと伝えられる。 他に薄黄木犀、銀木犀(白花)などの種類がある。 雌雄異株で、日本にあるのは雄株のみとされる。 大気汚染に弱く、また葉が汚れていると花芽のつきが悪いことがある。 種としての「モクセイ」は、花が白色の「ギンモクセイ」のことを指し、キンモクセイはその変種という扱いである。
 キンモクセイのお酒「桂花陳酒」は、白ワインにキンモクセイの花を3年ほど漬けたリキュールである。
 「トイレの芳香剤の香りと言えばこの花」というイメージも一時あったが、1990年代以降は、ほとんど見られなくなった。
 モクセイ科/中国原産/常緑高木/橙色


<金木犀 0F(17.9×13.9cm)>

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