自然の中でのスケッチ、自然との一体感を確実に感じることのできることは何物にも代えがたい幸せ感である。しかし海辺にて終りなき波の押し寄せる様を見て思うこと、それはこちら側にあるのか、それとも海の彼方にあり、せまりくるものなのか。それは多分、こちら側にあるのだろう。しかし、仲々見い出せない。地平線のように行っても行っても又、地平線があるように。
(カタログより)
風の会は、第5回を迎えました。時は平成5年。会も5回ともなりますと、メンバー各人の個性もお互いに知られ、人柄がそのまま作品になっているといった感ありです。昨今それぞれの作家は多忙な発表活動の中で、いくつかのグループ展等に出品していますが、特にこの会で感じるのは、家庭的なつき合いをしていることでしょうか。これも偏に、和田さんの努力の賜物だと思っています。個々がこの会を強く意識し、緊張感を挑戦的な気持ちをもって作品をつくりたいと思ってます。
(カタログより)
「風の会」はぼくにとって一番大切にしているグループ展です。
5年前、和田さんから4人展の話が出た時は、望んでいたメンバーの一人に加えていただいた感で、意気高揚、興奮しました。
それぞれ違った楽器を持ち寄って、各々が自己主張しながらも、ハーモニー、豊かな空間の拡がりが会場に満ちればグループ展の面白味、意味は一層充実するのだと思います。この点でハモる良きライバルに出会えたことを、ファミリーを最も大切にしている和田さんに感謝します。
(カタログより)
夜来の雨が上がった。
湿潤な空気の中に六月の陽がそそぐ。間もなく気温も上がりだすだろう。
手折れる程の高さに、数房の枇杷の実が成っている。今年の新芽につけたその実も側の葉も産毛に被われた雛鳥の様にやわらかだ。
肌色の果実と、テールベルトの葉の緑は、無二のコンビネーションを演じている。
共にそれは土の色、土色の黄と土色の緑だ。
大地のやさしさのかおりがする。
今朝、私の中にひとつのオマージュが拡がる。
そして私のリアルは、その一房の果実によって確かめられる。
(カタログより)