第3回 R.A.M.

第3回 R.A.M.

2004年3月18日~3月29日

第1回   第2回   第3回   第4回   第5回 

第1回   第2回   第3回   
第4回   第5回 

伴戸玲伊子
「始まりと終りの間」
6P(40.9×27.3cm)

藤倉明子
「曇傘」
10F(53.0×45.5cm)

奥村美佳
「ゆくえ」
12P(60.6×45.5cm)

―R.A.M.未来のために―第3回R.A.M.によせて

 今、私の手元には3人の画家から送られてきた文章と出品予定作の写真が数カットずつあります。
 その文章には、制作に関すること―技術や表現、そして自分を取り巻く社会に対する思いや葛藤そして苦悩等々。「つくりて」として乗り越え続けなければならない課題。また、画家であると同時にひとりの人間として向き合わねばならない試練…。そういうことが綿々とつづられております。
 人の心までもが商品化され消費の対象となってしますような気さえする殺伐とした現代社会にあって3人の画家がここにしたためた有機的かつ根底的想像力といえるような真摯な眼差しにはこころ打たれ感動さえ覚えます。
 同時に、優れた作品とは見る側の感性を刺激し新たな想像を促すものだとするならば、まさにこの3人の画家の純粋な精神をもっての創造こそそれに相当するものだと思うのです。
 「ほんの些細な日常の一瞬」、もしかするとそういうところに物事の真実や今までの最近作に触れているとそういう思いに駆られます。
 彼女の場合、風景を描いた作品からも、自らの内面的ストーリーを描いた作品でも発せられるエッセンスに変わりはなく、つまり「描く」という行為自体が彼女の人生そのものであり作品はそれを映し出す言わば心の鏡のようなもの。一瞬の空気の震え、部屋の隅の暗がりでさえ彼女の五感を駆け巡るうちに美しいもの(作品)にうまれかわるような気がします。
 心の中を埋め尽くす瞑想と静寂がはてしなく広がる奥村の表現世界に最近変化が見られます。支持体(和紙)の繊維一本一本にまで神経を行き届かせたような繊細で緻密な表現に、新たにたっぷり水を含ませた筆で描いたであろうおおらかな線が加わりました。それにより画面は緊張から解放されやさしい空気感に包み込まれ「暖かさ」にみたされた作品となったように思います。この「暖かさ」は奥村の新しいアイデンティティーの獲得に繋がるのではないでしょうか。
 藤倉の作品から放たれるエネルギーはますます強さを増しているようです。色と線はもつれ、絡み合い台風や乱気流のように激しく私たちの平静を揺さぶります。そして、もう少しの間この強さ、激しさは続きそうな気が私にはします。なぜなら、この作品の激しさは画家の内面の反映だと思うからです。この画家は徹底して根底的表現の追及をしようとしているのではないかと思うのです。
 この3人の画家は自律の指向のなかから現代社会に埋没した不可視の世界を切り裂き、さらに希望や可能性を透視しようとしていることはおわかりいただけたかと思います。
 あとは、作品に接する皆さんがその思いや感動を単に自分自身の心の中だけにとどめてしまうことなく、言わば新たな創造者として社会への発展的継承をしていただけることを私は切に願っているのです。

佐藤美術館 主任学芸員 立島惠