太田冬美作品展「巡る水」

太田冬美作品展
「巡る水」

2007年10月23日(火)~10月30日(火)    

静かな場所
―A quiet place, Kekova in Turkey―
 Water color on paper

拝啓 仲秋の候、皆様には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
このたび銀座・ギャラリー和田で、太田冬美作品展「巡る水」を開催いたします。
90年に初めて訪れたトルコの美しい風景に魅了されて以来、トルコ~イタリア~スペインなど地中海・エーゲ海沿いの古代遺跡や中世の街を求めて旅を続けてまいりました。旅にでるたびに、風や光とともに風景からのメッセージが送られてきます。作品テーマに一つである、水に関わる事象とその表現を描くことにより、「浄化」にも似た、解き放たれていく様に感じます。作品を通じてひとりでも多くの方々に伝えることができればと思っております。
今回の作品展では、トルコとシチリアでのスケッチ取材からキャンバス作品も含め、水彩画を中心とした二十数点を展示する予定です。
お忙しい毎日と存じますが、水の流れに様なゆったりした時を感じていただけましたら幸いです。

敬具
太田冬美

展覧会の会場

卓越した色彩感覚で、風景を描く太田冬美先生。当画廊で2年ぶりの展覧会です。水彩画20余点、アクリル作品7点を展示します。 トルコやイタリアを取材した水彩作品では、先生の作品の新たな一面を知ることができます。

Across the river
           From Europe to Asia Ⅱ
S30(90.9×90.9㎝)
キャンバスにアクリル絵具

ふたつの岸を繋ぐ橋。
イスタンブール・ボスポラス海峡に架かるいくつかの橋の風景の中で、風が通り抜け、視界が開けた。 アジアとヨーロッパのふたつの岸に架かる橋の袂で。

緑の中の街  The city in green
F15(65.2×53.0㎝)
キャンバスにアクリル絵具

イタリア・シチリア島にラグーザというバロック都市がある。ひとつの丘がそのまま都市の形を成している。山間に突如出現した船の様な、旧市街を見渡す丘の上から、この街の複雑な歴史を思い描いている。

巡る水
Sunken city of Kekova
F20 (72.7×60.6㎝)
キャンバスにアクリル絵具
アーチのある路地
A lane with ancient arch 
F8 (45.5×37.9㎝)
キャンバスにアクリル絵具
橋の見える風景
From Europe to Asia Ⅰ
F10 (53.0×45.5㎝)
キャンバスにアクリル絵具
海の記憶
A memory of sea
F6 (40.9×31.8㎝)
キャンバスにアクリル絵具

海の劇場
The Teatro Marittimo
水彩 109.2×76.8㎝

遥か眼下に幻の町を抱く地中海が広がる。 この海を眺めていると、この場所ではきっと心の中で何かが浄れていると思う。巡る水、何千年もの月日を越え、深い生命力でやさしい力を与えてくれるところ。
紀元前に栄えた文明が地震により海に沈み、その底に眠る古代の町。断崖絶壁の城壁から海に眠る記憶に思いを馳せるとき、「はじまりの場所」に戻ってきた様に感じる。海からの風と乾いた空気、目の眩むような陽射しの中に立ちのぼる地中海と古代の夢。
碧く澄んだ海とそこに暮らす人々の穏やかさ、体中で感じるたくましい自然の力、あらゆるものを含み、流れ去り、流れ来る水。流れゆく時。大切な時間を教えてくれる場所に再び巡り会えた気がする。
太田冬美